Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
仏蘭西の知人に紹介の手紙をくれたり、巴里へ行ってからの下宿なぞを教えてくれたりしたのもこの友人であった。番町はそこそこに支度する岸本の方を眺めて、旅慣れない彼を励ますような語気で、
「岸本さんと来たら、随分手廻しの好い方だからねえ」
「これでも手廻しの好い方でしょうか――」と岸本は番町にそう言われたことを嬉しく思った。
「好い方ですとも。僕なぞが外国へ行く時は、鞄でも何でも皆人に詰めて貰ったものですよ」
「なにしろ私は一人ですし、どうにかこうにか要るものだけの物を揃えました」
こう言う岸本の側へは民助兄が立って来て、遠く行く弟のために不慣な洋服を着ける手伝いなぞをしてくれた。
「兄さん、私はあなたに置いて行くものが有ります」と言いながら岸本は一つの包を兄の前に差出した。「この中に、お母さんの織った袷が入っています。外国へ行って部屋着にでもする積りで、東京からわざわざ持って来たんです。いかに言っても鞄が狭いものですから、これはあなたに置いて行きましょう」
「そいつは好いものをくれるナ」と民助も悦んだ。「お母さんのものは何物も最早俺のところには残っていない」
「私のところにも、その袷がたった一枚残っていました。