Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
ふとしたことから岸本はその青年からの手紙を貰って、彼が歩くことを楽みにする柳並木のかげは矢張その青年が幾年となく好んで往来する場所であったことを知った。二人は互いに顔を合せたことも無いが、同じ好きな場所を見つけたということだけでは不思議に一致していた。それから青年は岸本に逢いたいと言って来た。その時、岸本は日頃逢い過ぎるほど人に逢っていることを書いて、吾儕二人は互いに未知の友として同じ柳並木のかげを楽もうではないか、という意味の返事をその青年に出した。この岸本の心持は届いたと見え、先方からも逢いたいという望みは強いて捨てたと言って来て、手紙の遣り取りがその時から続いた。例の柳並木、それで二人の心は通じていた。その青年に取っては河岸は岸本であった。岸本に取っては河岸はその青年であった。
同じ水を眺め同じ土を踏むというだけのこんな知らないもの同志の手紙の上の交りが可成長い間続いた。時にはその青年は旅から岸本の許へ葉書をくれ、どんなに海が青く光っていても別にこれぞという考えも湧かない、例の柳並木の方が寧ろ静かだと書いてよこしたり、時には東京の自宅の方から若い日に有りがちな、寂しい、頼りの無さそうな心持を細々と書いてよこしたりした。