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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし仏蘭西の旅は岸本に取って、ある生活の試みを企てたにも等しかった。彼は全く新規な、全く異ったものの中へ飛込んで来た。それには長い年月の間、身に浸みついている国の方の習慣からして矯て掛らねば成らなかった。彼のように静坐する癖のついたものには、朝から晩まで椅子に腰掛けて暮すということすら一難儀であった。日がな一日彼は真実の休息を知らなかった。立ちつづけに立っているような気がした。日本の畳の上で思うさまこの身体を横にして見たら。この考えは、どうかすると子供のように泣きたく成るような心をさえ彼に起させた。彼は長い船旅で、日に焼け、熱に蒸され、汐風に吹かれて来たばかりでなく、漸くのことであの東京浅草の小楼から起して来た身をこうした外国の生活の試みの下に置いた。実際、眼に見えない不可抗な力にでも押出されるようにして故国から離れて来たことを考えると、彼はこれから先どうなってしまうかという風に自分で自分の旅の身を怪んだ。

節子から来た手紙は旅にある岸本の心を責めずには置かなかった。偶然にも岸本の下宿の前に産科病院があって、四十いくつかあるその建築物の窓の一つ一つには子供が生れたり生れかけたりしているということは、何かのしるしのように彼の眼に映った。