Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

あったが、それだけはお断りすると言って、女医の方で明さなかったと書いてよこした。定めしお父さんの方からの知らせが行ったことと思うが、自分の乳が腫れ痛んで、捨てて置く訳にはいかないと言われて、切開の手術を受ける為にしばらく女医の方へ行っていたと書いてよこした。どうもまだ自分の身体の具合は本当でないから、今しばらくこの産婆の家の二階にとどまるつもりであるが、出来るだけ早くここを去りたいと思うと書いてよこした。つくづく自分はこの二階に居るのが恐ろしくなった、何事につけてもここはお金お金で、地獄にあるような思いをすると書いてよこした。このお産のために自分の髪は心細いほど抜けた、この次叔父さんにお目にかかるのも恥かしいほど赤く短く切れてしまったと書いてよこした。

この節子の手紙を読んで、岸本は心から深い溜息を吐いた。彼はいくらか重荷をおろしたような気がした。しかしそのために、一度つけてしまった生涯の汚点は打消すべくもなかった。埋めようとすればするほど、余計に罪過は彼の心の底に生きて来た。彼は多くもない旅費の中を割いて節子が身二つに成るまでの一切の入費に宛てて来たし、外国から留守宅への仕送りも欠かすことは出来なかったし、義雄兄から請求して来た節子の手術に要する費用も負担せねば成らなかった。