Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

その一年ばかりというものは、まるで歩きづめに歩いていた旅人のような自分の身をも胸に描いて見た。巴里のアパルトマンの屋根の下に籠っていることも、靴を穿いて石造りの歩道を歩いていることも、ほんとうに休息というものを知らない彼に取っては殆ど同じことであった。どうかすると居ても起ってもいられないような日が来て、目的もなしに公園の方へ出掛けたり、あそこの町の店先に立って見たり、ここの飾窓を覗いて見たりして、寄りたくもない珈琲店に腰掛けるより外に、時の送りようの無いこともあった。それが幾日となく続きに続くこともあった。一年の異郷の月日は彼に取って実際に長い彷徨の連続であった。彼は彷徨うことを仕事にして来た自分に呆れた。

町々の若葉の間を歩き廻って、もう一度岸本が下宿の方へ帰って行った時は、無駄な骨折に疲れた。彼は自分の部屋へ行って独りで悄然と窓側に立って見た。曾て信濃の山の上で望んだと同じ白い綿のような雲を遠い空に見つけた。その春先の雲が微風に吹かれて絶えず形を変えるのを望んだ。親しい友達の一人も今は彼の側に居なかった。国から持って来た仕事もとかく手に着かなかった。