Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
男と女の寝像が堂々と枕を並べているから驚く。『さすがにアムウルの国だ』なんて、高瀬君が言って笑いましたっけ」
この岸本の旅らしい話は岡を微笑ませた。岸本は言葉を継いで、
「しかし、カトリックの国でなければ見られないような、古めかしい、物静かな御堂でしたよ。御参りに行くような人も君、沢山あると見えて、その御堂を囲繞いた鉄柵のところには男や女の名が一ぱいに書きつけて有りましたっけ。ああいうところは西洋も日本も同じですね。皆あの二人の運命にあやかりたいんですね――」
そこまで話して行くと、岡は岸本の言葉を遮った。
「岸本さん、あなたはどう思うんです。あなたの年齢になっても、まだ恋を想像するようなものでしょうか」
「そりゃ君、年をとれば取ったで、ずっと若い時分とは違った、複雑な恋愛の境地があるとは僕も考えるね。しかし、恋なんてことは最早二度と僕には来そうも無い」
若かった日の岸本はこんな話を口にするさえ直ぐ顔が紅くなった。まだ昔のように熱い涙の流れて来るようなことは有っても、彼の頬は最早めったに染まらなかった。
八十九
「岸本さん、僕は御願いがあって来ました」とその時になって岡が言った。