Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
百二十二
窓から望むと、冬枯のプラタアヌの並木の下あたりは寄せ集めた銃や肩から卸した背嚢で埋められた。騎馬から下りて休息する将校等も見えた。眼の下に動く兵卒等の軍帽を包んだ紺の布や、防寒用の新服はいずれも酷く汚れて、風雪の労苦が思いやられた。
「生きたいと思わないものは無い――」
と彼は自分に言って見た。
町々の婦女は出て兵卒等をねぎらおうとした。葡萄酒を奮発する珈琲店のかみさんがあれば、パン菓子を皿に盛って行って勧める菓子屋のかみさんもあった。岸本も部屋にじっとしていられなかった。彼は急いで帽子を冠り、階段を降りて、この人達の中に混ろうと思った。夫や兄弟や従兄弟のことを心配顔な留守居の婦女、子供、それから老人なぞが休息する兵卒等の間を分けて、右にも左にも歩いていた。岸本は自分の隠袖の中から巻煙草の袋を取出し、それを側に居る五六人の兵卒にすすめて見た。
百二十二
一日は一日より岸本の旅の心は濃くなって来た。暇さえあれば岸本は自分の下宿を出て、戦時の催しらしい管絃楽の合奏を聴くためにソルボンヌの大講堂に上り、巴里の最も好い宗教楽があると言われるソルボンヌの古い礼拝堂へも行って腰掛けた。