Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

六

曾て国の方で人を教えたこともある自分の姿のかわりに、ずっと以前の書生時代にでも帰って行ったような自分の姿がそこへ顕れて来た。最後に姿見の方へ行って剃り立ての顔を眺めた時は、今まで髭に隠れていた鼻の下あたりが青々として見えた。ところどころからは血も滲み出た。

岸本の顔はまるで変ってしまった。しかし彼はさも心地よげに、両手で口の周囲を撫で廻した。この顔でこそ、もう一度国の方へ帰って行って節子の親達にも逢えると考えた。

六

「オヤ、大層さっぱりとなさいましたね」

こういう意味のことを仏蘭西の言葉で言って、誰よりも先に岸本の顔を見つけたものは、翌朝部屋の掃除に入って来た旅館の給仕であった。

逢う人毎に岸本を見て噴飯さないものは無かった。巴里の狭い在留者仲間で、外国生活の無聊に苦しんでいるような人達は、「村」での出来事か何かのようにして、有るべきところに有るものが有った以前の岸本の顔の方が余程好かったと、彼のために突飛な行いを惜んでくれた。別れを兼ねての骨牌の会、珈琲店での小さな集りなぞがある度に、岸本は行く先で自分の顔の評を受けた。「髭のあった時分の顔には、なつかしみが有った。