Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
妻を失った後の岸本は、雛鳥のために餌を探す雄鶏であるばかりでなく、同時にまたあらゆる危害から幼いものを護ろうとして一寸した物音にも羽翅をひろげようとする母鶏の役目までも一身に引受けねばならなかった。子供の泣き声がすると、彼は殆ど本能的に自分の座を起った。部屋の外にある縁側に出て硝子戸を開けて見た。それから階下へも一寸見廻りに降りて行った。
「子供が喧嘩しやしないか」
と彼は節子や婆やに注意するように言った。
「あれは他の家の子供です」
節子は勝手口に近い小部屋の鼠不入の前に立っていて、それを答えた。何となく彼女は蒼ざめた顔付をしていた。
「どうかしたかね」と岸本は叔父らしい調子で尋ねた。
「なんですか気味の悪いことが有りました」
岸本は節子が学問した娘のようでも無いことを言出したので、噴飯そうとした。節子に言わせると、彼女が仏壇を片付けに行って、勝手の方へ物を持運ぶ途中で気がついて見ると、彼女の掌にはべっとり血が着いていた。それを流許で洗い落したところだ。こう叔父に話し聞かせた。
「そんな馬鹿な――」
「でも、婆やまでちゃんと見たんですもの」
「そんな事が有りようが無いじゃないか――仏壇を片付けていたら、手へ血が附着いたなんて」