Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
「俺の家でも万事好都合に行ってね。嘉代も大喜びサ」と義雄が言った。
「へえ、どうかと思って私は心配しておりました」と岸本は兄の話を受けて、「姉さんの口振ではあまり家も気に入らないような話でしたが、引越して住んで見れば悪くもありませんかナ」
「どうしてどうして。叔父さんの御蔭でこんな好い家へ越せたなんて、しきりにお前に感謝してる」
「そいつはまあ好うござんした。それに、子供が一緒でないだけでも高輪に居た時分とは違いましょう」
「悪く言うのも早いが、褒めるのもまた早いや」
この義雄の言草が自分に対する嫂の噂であるだけ岸本を笑わせた。その日は義雄はあまり長くも腰を据えていなかった。いずれ近いうちに節子をよこすという話なぞを残して置いて帰って行った。岸本と節子との変って来た関係は何となく兄弟の関係までも変えて見せた。彼は義雄を兄として見るばかりでなく、どうかすると親としても見るような今までにない心持をも起して来るように成った。
五十六
眠りがたい夜が復た続いた。どうしてこんなことが起って来たろうと自分に不審に思うほどの心持で岸本は節子の来るのを待ち侘びた。節子は弟の一郎を連れて、急に時雨れるかと思うと復た晴れて行くような日に高輪へ訪ねて来た。