Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
試みに二人の相違を比較して見た。二人の気質の相違を。二人の容貌の相違を。二人の年齢の相違を。二十余年も前に青年としての彼が別れた勝子と、今見る節子と、いくらも年齢が違っていなかった。曾て彼は自分と節子との時代の隔たりを、ある近代劇中の老主人公と、洋琴を弾いて聞かせるだけの役目にあの主人公の許へ通って来る若い娘との隔たりに譬えて見たことがある。あの無邪気な指先から流れて来るメロディでも聞いて老年の悲哀と寂寞とを忘れようとする人と、まだ生先の長い若草のような人との隔たりに譬えて見たことがある。三年の節子の発達はこの若い娘の位置から余程彼女を変えて見せたとは言え、彼と節子との時代の隔たりはそれにしても争われなかった。幾度彼は節子のような若い女の心が自分に向って動いて来たことを不審に思ったか知れない。彼は節子の「心からのほほえみ」を通して自分と彼女の間の根深い苦悩の微笑みを読むような心を持ち始めた。
解き放たれかけて来た岸本の胸からは自分ながら思いがけない程のものが迸り流れて来た。夜もろくに眠られないようなことが、やがて彼には一月ばかりも続いた。
六十
「自分にはもう悲みということが無くなってしまった」