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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

六十七

彼女は新規に誂えるまでもなく、松坂屋あたりの店で見つけた出来で間に合わせて、唯寸法だけを少し詰めて貰ったとも言った。

「私が着ていたって、お父さんは知らずにいますよ」

と復た節子は言って、それとなく眼の悪い父親の噂をもした。

こうした雨具一枚節子に買って宛行うにも、岸本は四方八方へ気兼ねをしなければ成らなかった。彼が節子を保護しようとする心もとかく思うに任せなかった。何故というに、彼は谷中の方に節子を置いた時のことばかりでなく、自分の家の方へ訪ねて来た時のことも考えて見ねば成らなかったから。

「節はあれでどれ程叔父さんを頼りにしているか知れません。叔父さん一人が彼女の力です。なんでも若い時には、物をくれる人が一番好い人です」

こう祖母さんは最早取って二十五にもなる節子のことをまだほんの子供のように言っていた。

六十七

しかし、節子に許した岸本の心とても冷熱を繰返さずには動き進んで行くことが出来なかった。激しいパッションがやや沈まって行った後では、それと反対な冷かな心持が来て彼の胸の中で戦った。

岸本は自分の部屋を見廻した。声が来て独り仕事に親しもうとする彼を試みようとした。