Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

と岸本に話し聞せた。

そろそろ家の内は薄暗くなりかけた。未だ屋外は明るかったが、岸本も節子も帰りの遅い祖母さん達のことを案じるように成った。

「節ちゃん、お前も帰る支度をするがいい」

と岸本の方で言出した時、節子は座を起ちかけて、

「私はもう帰りません」

とわざと言って見せた。こういう時の節子の語気には岸本を噴飯させるほどの率直があった。

「祖母さん達も、もうそれでも帰りそうなものだなあ」

と言いながら、岸本は部屋々々を歩き廻って見た。北向の部屋の外から勝手の方へ通う廊下の屋根には小さな明り窓があって、その窓から射す日暮時の光が廊下に接した小部屋の障子を薄明るく見せていた。節子は鏡台の前に立って乾いた髪をときつけながら帰り支度をしていた。何気なく岸本は節子の背後に立って、鏡の中にある彼女の女らしい姿を見た。その時、節子は岸本の胸に彼女の頭を押し当てて、この家を立ち去るに忍びないような柔かな表情を鏡に映して見せた。花見帰りの人達は間もなく遠路を疲れて戻って来た。

「へえ、只今」

という祖母さんと一緒に、泉太や繁の楽しそうな笑い声が急に家の内を賑かにした。