Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

と二人の子供はかわるがわるその鞄を持ち廻った。

翌朝は早や六月を迎えた。谷中からは節子が祖母さんを迎えかたがた手伝いに来た。岸本は以前の浅草の家から移し植えた萩を根分けして、一株は久米に贈り、一株は谷中行の荷車の端に積んだ。古い家具なぞが動かされる度に、見慣れた家の内部の光景は壊れて行った。

祖母さんはじめ久米や女中は下宿まで子供等を見送りたいと言って、一同揃って愛宕下をさして出掛けた。岸本は皆より一歩おくれて、一番最後に高輪の家を見捨てた。

古い寺院にでも見るような青苔の生えた庭の奥まったところにある離座敷に行って着いた人達は、早く届いた荷物と一緒に岸本を待っていた。岸本は東と北との開けた古風な平屋造りの建物の中に新しい栖所を見つけた。二間あって、一方を自分の書斎に、一方を子供等の部屋に宛てることが出来た。

「なあんだ――寄宿舎かと思ったら、宿屋だ」

この繁の言葉がそこに集っている一同を笑わせた。しかし泉太も繁もこの下宿へ移って来たことをめずらしそうにして、離座敷から母屋の方へ通う廊下をしきりに往ったり来たりした。

丁度昼飯時に当っていた。岸本は祖母さん達と一緒に食事をして、いろいろ世話に成った礼を述べて一同と別れた。