Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
百九
の力だ。遠い旅に出て、彼女を破滅から救い、同時に自分をも救おうとするようなことが、そこから起って来た。兄を欺き、嫂を欺き、親戚を欺き、友人を欺き、世間をも欺いて、洋行の仮面にかこつけて国から逃出すようなことも、そこから起って来た。節子と自分との関係を明かにするには先ずその出発点からブチマケて掛らねば成らなかった。岸本は暗いところにある自分の恥を明るみへ持出そうとする時に成って、復た復た非常に躊躇した。
百九
一日々々と衰えて行った嫂の容体は、医者の骨折も、節子の看護も、結局それをどうすることも出来なかった。手術後十日ばかりの頃には、唯病人の死を待つばかりのように成った。今日は病院から電話が掛って来るか、明日は掛って来るか、と岸本は下宿の方に居て三人の子供を相手にその噂をした。
四月に入って、節子は母親の容体が急激に変って来たことを知らせてよこした。それを聞いて岸本は病院をさして急いだ。その日は電車でなく俥で、嫂が附属の看護婦一同へ子などを途中で買い求めて行った。義雄兄は最初から慈善の意味で建ててある病院へ嫂を入れることを好まなかった。でもそこには岸本が懇意な博士もあり、まるで嫂はお客様のような扱いを受けた。