Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

三十三

「お留守居する」

と弟は兄よりも先に膝を乗出した。

「繁ちゃん」

と兄は弟を叱るように言った。その泉太の意味は、自分は弟よりも先に父の言葉に応じるつもりであったとでも言うらしい。

「二人ともおとなしくして聞いていなくちゃ不可。お前達は父さんの行くところをよく覚えて置いておくれ。父さんは仏蘭西という国の方へ行って来る――」

「父さん、仏蘭西は遠い?」と弟の方が訊いた。

「そりゃ、遠いサ」と兄の方は小学校の生徒らしく弟に言って聞かせようとした。

岸本は二人の幼いものの顔を見比べた。「そりゃ、遠いサ」と言った兄の子供ですら、何程の遠さにあるということは知らなかった。

三十三

思いの外、泉太や繁は平気でいた。それほど何事も知らずにいた。父が遠いところへ行くことを、鈴木の伯父の居る田舎の方か、妹の君子が預けられている常陸の海岸の方へでも行くぐらいにしか思っていないらしかった。その無心な様子を見ると、岸本はさ程子供等の心を傷めさせることもなしに手放して行くことが出来るかと考えた。

岸本は膳の側へ婆やをも呼んで、

「いろいろお前にはお世話に成った。俺も今度思立って外国の方へ行って来るよ。