Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎゅうつきかげしょう
柳生月影抄 名作短編集(二)
吉川 英治
Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme
十一
「そうか」
と云ったきりだった。
そしてすぐ、小頭を呼びつけ、
「死体を掘り出したら、死体はひとまず、日蔭の草の上にでも並べておけ。始末は晩のことでいい。――やむを得ない! ここは戦場だ。人死に驚いて、戦がなるものか、工事もすぐ続けろ」
こんな犠牲者も、今年ばかりあったのではなく、無数にあったといっていい。それに対しての与右衛門の態度も、この頃は極めて冷淡になってきた。
「人非人っ」
「鬼め」
石をたたみ、鍬をふるい、汗を眼にながして働いている人々は、皆、彼の残忍を口のうちで呪った。
十一
汗の下に咲いた可憐な龍胆の花が、見られもせず、草鞋で踏まれる秋になった。
湯沸し場に、人立ちがしていた。
「何だ、何があったんだ――」
近くの者が、わらわらとそこへ駈けてゆく。
案のじょう、また、与右衛門の鞭で打ちすえられている者があったのだ。けれど、今日は百姓ではなかった。彼の子であるお珠だった。
「――かにして下さい、悪うございましたっ。お父様っ」
鞭の下に泣きさけぶと、
「父とは何だッ、工事場では、父娘のけじめはないと云ってあるぞっ」
と云いながら、またも打つのだった。