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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

そぎ竹の先に突きさした百目ろうそくが、何本も、赤々と立って、頬ぼねの尖ったのや、顎の角ばった顔を照らしている――札箱は、そのまん中に出されて、幾つもの手が、中の札を掌のなかに揃えてゆく。

「二十両下は、切りすてます。また一分から下の端たも、呼びあげを略しまして」

と、断って――

「二十一両一分。上野原の鶴屋様」

と大声で読みはじめた。

興味にかられていた群衆の顔は、

「鶴屋だ。料理屋の鶴屋――」

と、その顔をさがすように、うごいたが、すぐ次の札が、

「三十両ちょっきり――」と、読まれて、

「厚木の吉熊親分様」

と、どなった。

それからまた、高値――と渡された札を、順々にうけ取りながら、読み役の勘三は、声を、

「とんで、四十一両二分、川越の貸座敷大黒屋善六様」

その次の高値が、二、三枚とばされて、

「七十両!」

と、いっそく跳びに、とんだ。

(誰だろう?)

群衆が、ちょっと、気をのまれていると、

「甲州鮎川部屋の客人――村上賛之丞様」

サッと、女の顔がかわった。

せわしなく、その眼がうごいた。

勘三は、そう呼びあげて、ちょっと息をいれてから、

「――高値でござんす。鮎川のお客人へ、落ちました」