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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

三

「そんな事を大きな口を叩いて、もし伝公が負けたらどうするんだ。まさか水揚人足や砂利場の軽子稼ぎで、一人で二両三両という金は出せまい」

「ところが、その伝公って奴は、なかなか金を持ってるんだとよ」

「ふーむ……」

「だから誰も、ツイ追目になって、引ッ懸るんだというから面白いや」

「ひどい野郎だな」

みんなが笑うのに釣込まれて、左次郎もウッカリ蒲団の中でクスクス笑った。

「おや、いたのかおめえ」

「はい」

「いい若い者のくせにして、物臭え男だな。雨が霽ったから明日は仕事にありつけら、元気を出せよ、元気を」

「どうも、しばらく休んだせいか、体が痛くって……」

と左次郎はまた、油気のない前髪の頭を見せただけで、夜具の中へ丸まってしまう。

「左次さん」――そこへ、大坂格子の向うで、銅鑼亀のお内儀さんの声がして、

「親方が呼んでるよ、ちょっと奥へ来て貰いたいって」

三

「お前さん、お武家の息子だね」

銅鑼屋の亀さんの前に坐ると、いきなりこう云われたので、左次郎はまごついた様子だった。

「そう見えましょうか」

「見えるな」

と、銅鑼亀はそこで一服喫って、質草を包んでいる女房の出かけてゆくのを待っていた。