Japanische Klassiker mit Furigana
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じけいろく
自警録
新渡戸 稲造
Lesen Sie 自警録 (じけいろく) von 新渡戸 稲造 (にとべいなぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 168.224 Zeichen · 328 Bildschirme
もし一国に危険でもあるときには、一家を愛する感情ではあるいは物足らぬ事もあろう。我が国の誉として我々は親も捨て、はなはだしきは妻子を殺すまでして出陣した例などを物語ると、今日の西洋人の耳には野蛮に聞こゆるそうだが、かくのごとき例は幾たび聞いても、僕らの嘆賞を買うものである。ゆえに我々は一家を捨てることをも重いことに思わない。ゆえに事あれば国のためとはいうけれど、一家のためとは絶叫しない。しかし西洋の人は戦いに出る時も炉辺と家庭と for hearth and home を揚言する。ちょっと聞くといかにも個人的であるが、しからばとて国が仆れても自分の炉辺に差支えなければ平気でいるかというとそうでない。
学者は社会の進歩の秩序として、団体観念から個人関係に移って行くと説く人もあるが、欧州の進歩は果たしてそういう形跡を現している。日本の歴史にして果たして西洋史と轍を同じゅうするものならば、我々も近ごろ言う国家々々という声が今後いくらか弱りはせぬかと懸念に堪えないと同時に、健全なる個人的思想に伸びて行ったならば、国家なる語を公言することは少なくなっても、実際においてその力が強くなるであろうと信ずる。