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Japanische Klassiker mit Furigana

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じけいろく

自警録

新渡戸 稲造

Lesen Sie 自警録 (じけいろく) von 新渡戸 稲造 (にとべいなぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 168.224 Zeichen · 328 Bildschirme

Aozora Bunko

惨憺たる一高の入学試験

今もなお僕にはその人が知れない。しかるにこの事たる、事態は茶話の話題にもならぬくらいなるが、僕にとっては人情のまことに柔かきところと深きところとを窺わしめて、感謝と喜びの念を深からしむることが少なくないのである。

それにこの行為をなす人はおそらく唯一人であろう。しかるに誰ということの判らぬ間に、僕の心には果たして一人であるか二人であるか三人か、加之一人であるにしても、あの人であろうか、この人であろうかと推量を運らすのが大勢の人に関するから、つまり大勢の人が僕には恩人のごとき感を与えている。渡る世間に鬼はない。かれこれ僕は大勢の人に非難を受けるけれども、また世には心からしての友があるという自覚を強からしめて、折々不愉快なことのあるあいだにも、かくのごとき小な事が、燈明のごとく輝いて、人生の味を甘からしめる。

惨憺たる一高の入学試験

僕が第一高等学校に在職中ことさらに僕の感じたことがある。それはある夏学校の入学試験の際であったが、今は名も知れているけれども、これを明かすの必要もなし、あかしたならかえって迷惑の種子ともなろうから、姓名を省いて話そう。あるいは偶然にも話題の主の人の眼にこの書が触れたならば、あの時の男は彼であったかと思わるるであろうが、僕はこれを美談と思うから隠さずに話する。