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Japanische Klassiker mit Furigana

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じけいろく

自警録

新渡戸 稲造

Lesen Sie 自警録 (じけいろく) von 新渡戸 稲造 (にとべいなぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 168.224 Zeichen · 328 Bildschirme

Aozora Bunko

世の憂き事、人生のつらいことが毎日われわれの眼に映り耳に響きながら、われわれの胸にはなんらの影をも落とさず、なんらの共鳴をも引き起こさない。しかるに世にいくらか仕事をなした人について質したならば、十に八、九までは、私の立志はかくかくの時に発したと、なにか具体的な、しかも他人の耳にはつまらなく聞こゆる些細な出来事を指摘するであろう。これ蓋し、すでに腹の畑は肥しができ、掘り起こされて土壤が柔かになり、下種の時晩しと待っているところに、空飛ぶ鳥が偶然一粒墜したり、眼に見えない風が山の彼方より種を抱いて吹き来たったりして、春に萠し、夏に花咲き、秋に実るのである。

人の心も先に言った想像なり、あるいはそれよりはるか以上の方法をもって、準備を整えていさえすればいかに卑近な教えでも、いかに些末な忠告でも、必ずこれを受け取って発芽して、花咲かせて実るものと思う。

他人の諫言忠告をいつでも容れる心の態度を有する者は真の大人、君子、英傑である。シナ太古の聖人が世を治むる時代には朝廷に諫鼓という太鼓のような物を備えおいて、誰人にても当局に忠告せんとする者はこれを打つと、役人が出て諫言を聴いたと伝えるが、今日は諫鼓のかわりに新聞があるけれども、耳を傾ける度量は昔にくらべてどうであろう。