Japanische Klassiker mit Furigana
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じけいろく
自警録
新渡戸 稲造
Lesen Sie 自警録 (じけいろく) von 新渡戸 稲造 (にとべいなぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 168.224 Zeichen · 328 Bildschirme
伊藤公発憤の動機を見よ
ゆえに職業を選ぶにつき一見一時的感情とみゆる動機によりて定むることも必ずしも誤りなりとは言えぬ。
伊藤公発憤の動機を見よ
一日、横山健堂氏より故伊藤公に関する趣味多き談を聞いた。公がかつて吉田松陰先生の塾にいたとき、一夜、他の塾生とともに炉を囲んで談話しているあいだに、公は時の長州藩の家老が人を得ないことを憤慨した。これを聞いていた松陰先生は、平生は女子のごとく柔しくしてめったに大声だも発せぬ人であったにかかわらず、この時にかぎり声を励まして、
「貴様の言うごとく自ら天下を料理する考えを真面目に有するなら、長州家老の適否のごとき歯牙にかくるに値いなきものである。しかるにいま貴様の言を聴けば、それはやはり家老どもの力を藉らねば、天下が治まらぬというごとき卑怯の意志あることを自白するにほかならぬ。そんなことで天下の大勢がわかるものか」
と叱咤した。つねになき激語を発したので弟子どもも一時はあっけにとられたという。伊藤公は多数塾生の面前でかく叱られ、心に恥じたが、さすがに伊藤公だけあって深くこの教訓を心に銘じ、この時より自分のあらゆる能力をもって天下のためにつくさんことを決心したと、数年後帰省されたとき旧塾のなかでこの述懐談をしたことがあるという。