Japanische Klassiker mit Furigana
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じけいろく
自警録
新渡戸 稲造
Lesen Sie 自警録 (じけいろく) von 新渡戸 稲造 (にとべいなぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 168.224 Zeichen · 328 Bildschirme
余裕を存することと全力主義
はなはだ例が不吉であるが、精神病院にいってみると、やさしい女の乱暴するのを止めるために大男が五人もかかることを見ると、いかに女の筋肉に力の潜んでいるかに驚かされる。僕はたびたび見たが、雛を養っている雌鶏の傍に、犬猫がゆくと、その時の見幕、全身の筋肉に籠める力はほとんど羽衣を徹して現れる。
あるいは今に忘れぬが、わが輩の七、八歳のころ、故郷にあって朋輩三、四人と山遊びしたとき、森の内で火を焚いた廉をもって、近所の百姓に追われて命からがら落ちのびたことがある。その後その場におもむき実地踏査を遂げたのに、どうして七、八歳の子供が一里余の山道を、しかもあまたの小流を跳りつ越えつつ走ったろうと考えると、少なくもその時は僕も第三層に潜んでいる力を出したかと思われる。
余裕を存することと全力主義
わが国従来の教えとして全力を出さぬことを賞める。すなわち余裕しゃくしゃくという言葉は、まだ力はつくさないぞ、あとには予備が控えているぞという態度である。
この態度は独りわが国ばかりではない。何国人といえども尊敬するところである。リンカーンの年を経るにしたがってますます人物の高まるのは、同氏にはさきにいった三層どころではない、そのなお奥に四層も五層も深みがあったから、彼の性格を味わえば味わうほど甘味を感ずる。