Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
十五
あつい湯でさっぱりと洗った足さきに伸子はこころもちよくゆたんぽのあたたかみを感じている。伸子が部屋へかえって来るまでに、のぼせるような豆炭の火気をはきつくした煖炉は適度に部屋をあたためて、夜更けらしい余燼を見せている。おだやかな夜の室内の光景だが、白地にほそいピンク縞丸形カラーのねまきを着て起きている伸子の顔はけわしかった。寝台のかけものの上にのばしている手のところに、二つに裂かれた手紙がある。手紙はわりあいあつくて、原稿用紙が四五枚重なったままをまんなかから、さかれたときの紙の重りのずれをそのまま、そこにある。
モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)とロンドン。モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)とパリ。素子と伸子とが別々に暮すようになってから二ヵ月あまりたつ。わりあいに筆まめな伸子は、気がむくと随分細かく長い手紙をモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ書いて来た。素子も一週に一通のわりぐらいでロンドンにいた伸子、パリへかえって来てからの伸子に、たよりをよこしているのだった。
でも、今夜の手紙は、混乱した表情に口もとをゆがめ、白いブラウスの左方の肩をつきあげたような素子が、こわい眼つきで、伸子の前に迫って来るようだった。