Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.106 Zeichen · 292 Bildschirme
二
もっとも、今まで討手の現れないところをみると、まずその心配もありますまい。少しばかりの貯えを廻して三十年の間安穏に暮し、主取りをする気もなく、江戸の下町に住んだのが、私の仕合せだったかも知れません」
藤枝蔵人老人は、そんな行届いたことまで言って退けて、武士気質を半分ほどは銷磨してしまったらしい月代を撫で上げるのです。
「そこは大江戸の有難さで、ここに小さくなって住んでいる分には、八幡知らずの中にいるようなものでしょうよ」
三人の町人達は、声を合せて面白そうに笑うのでした。浅草の阿部川町――この辺は全く、敵持などの住みそうな場所ではなかったのです。
その御方便な話を、苦々しく聞いているのは、さすがに、まだ両刀を離さぬ、手習師匠の光川左門太だけでした。
二
敵持の話ですっかり興をさまして、光川左門太はむつかしい顔をして真っ先に帰りました。藤枝蔵人老人が三河屋を出たのは、それから一刻(二時間)も後――ツイ二三町の自分の家へ帰ったのは、戌刻半(九時)過ぎ――。
「お礼、今帰ったよ」
老人臭くこんな事を言いながら入ると、
「お帰りなさいまし、――いつもよりはお早いようじゃございませんか」