Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十三)青い帯
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十三)青い帯 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.244 Zeichen · 231 Bildschirme
三
お関は何となく物悲しそうです。世帯やつれのした、駄菓子屋の五十女は、何もかも諦めることに馴れた姿です。
「幾松は身体が悪いそうじゃないか」
「世間様は気が変のように言いますが、人様に顔を合せるのを嫌がるだけで、別にどうもしたわけじゃありません――あれあの通り」
振り返るとどこの隙間からかこちらを見ていたらしい幾松はあわてて物蔭に姿を隠すのでした。
とにかく、剃刀を持つ稼業には向かなかったので、母親のもとに帰されましたが、乱暴をするんでも、間違ったことを言うでもなく、暗いところに引っ込んで、いつまでもいつまでも黙って、考え込んでいるといった、世にいう気鬱の嵩じた症状だったのです。
つづいて嫌がる幾松を、無理にガラッ八に引出させてみましたが、そんな具合で筋の通ったことを言わせる望みもなく、ただ二十四という立派な職人が、人付合いもせずに、暗いところに引っ込んでいなければならぬみじめさを、哀れ深く見ただけのことです。
「お前はお由良をどう思う?」
平次はいろいろに問い試みました。が、幾松は、
「…………」
蒼白い顔を硬張らせて、何にも言おうとはしません。洗いざらしの縞目も判らない袷一枚、月代は伸びるに任せて、手も足も無残に垢に塗れたのが、磁石に引かれる鉄片のように、不気味な二つの瞳ばかりは、空地の隅に転がされた、お由良