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Japanische Klassiker mit Furigana

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パンドラのはこ

パンドラの匣

太宰 治

Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme

Aozora Bunko

それがいま、僕の世話になっている「健康道場」と称するまことに風変りな結核療養所なのだ。新館と旧館と二棟にわかれている。旧館のほうはそれほどでもないが、新館はとても瀟洒な明るい建物だ。旧館で相当の鍛錬を積んだ人が、この新館のほうにつぎつぎと移されて来る事になっているのだ。けれども僕は、元気がよいので特別に、はじめから新館にいれられた。僕の部屋は、道場の表玄関から入ってすぐ右手の「桜の間」だ。「新緑の間」だの「白鳥の間」だの「向日葵の間」だの、へんに恥ずかしいくらい綺麗な名前がそれぞれの病室に附せられてあるのだ。

「桜の間」は、十畳間くらいの、そうしてやや長方形の洋室である。木製の頑丈なベッドが南枕で四つ並んでいて、僕のベッドは部屋の一ばん奥にあって、枕元の大きい硝子窓の下には、十坪くらいの「乙女ヶ池」とかいう(この名は、あまり感心しないが)いつも涼しく澄んでいる池があって、鮒や金魚が泳いでいるのもはっきり見えて、まあ、僕のベッドの位置に就いては不服は無い。一番いい位置かも知れない。ベッドは木製でひどく大きく、ちゃちなスプリングなど附いていないのが、かえってたのもしく、両側には引出しやら棚やらがたくさん附いていて、身のまわりのもの一切をそれにしまい込んでも、まだ余分の引出しが残っているくらいだ。