Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
僕からじゃありませんよ。」と君が、颯っと赤い表紙の可愛い辞典を投げてやったところなんかは、やっぱりあざやかなものだった。僕は、ひそかに君に敬服した。竹さんは、君の清潔な贈り物を上手に胸に受けとめて、
「おおきに。」と、君に向って、お礼を言ったね。君が何と言ったって、竹さんは、君からの贈り物だという事を知っているのだ。旧館のほうに歩いて行く竹さんのうしろ姿を眺めながら、君は溜息をついて、
「危険だ、あれは危険だ。」とひどく真面目に呟くので、僕は可笑しかった。
「危険なもんか。真暗い部屋にたった二人きりでいたって大丈夫なひとだよ。僕は、もう試験ずみだ。」
「君は、とんちんかんだからねえ。」と僕をあわれむような口調で言って、「君には美人、不美人の区別がわからんのじゃないか?」
僕は、むっとした。君こそ、なんにも、わからないくせに。竹さんが君に、そんなに美しく見えたとしたら、それは、竹さんの心の美しさが、君の素直な心に反映したのだ。冷静に観察すると、竹さんなんか、ちっとも美人じゃない。マア坊のほうが、はるかに綺麗だ。竹さんの品性の光が、竹さんを美しく見せているだけの話だ。