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Japanische Klassiker mit Furigana

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パンドラのはこ

パンドラの匣

太宰 治

Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme

Aozora Bunko

」とひどく興奮の態で囁いてくれたが、そう言われて僕も思い出した。僕が子供の頃に、この歌は、花宵先生の傑作として、少年雑誌に挿画入りで紹介せられたりなどして、大はやりのものであった。僕たちは、ひそかに越後の表情を注視した。越後はそれまでベッドの上に仰向けに寝て、軽く眼を閉じていたのだが、「オルレアンの少女」の合唱がはじまったら眼をひらいて、こころもち枕から頭をもたげるようにして耳を澄まし、やがてまたぐったりとなって眼をつぶって、ああ、眼をつぶったまま、とても悲しそうに幽かに笑った。君は、右手でこぶしを作って空間を打つような、妙な仕草をして、それから僕に握手を求めた。僕たちは、ちっとも笑わずに、固く握手を交したっけね。いま思うと、あれはいったい何のための握手だったのか、わけがわからないけれども、あの時には、とてもじっとしては居られず握手でもしなければ、おさまらぬ気持だったものね。君も僕も、ずいぶん興奮していた。「オルレアンの少女」が済んだ時、君は、

「じゃあ、失礼しよう。」と奇怪な嗄れた声で言い、僕も首肯いて、君を送って廊下へ出て、

「たしかだ!」と二人、同時に叫んだ。