Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
「いま、おあがりになります?」
「いいえ、もう、食事はすみました。」
娘さんは弁当箱をもとの戸棚に収めて立ち上り、
「まあ、綺麗。」
と君が滅茶苦茶に投げ入れて行ったあの菊の花をほめたのだ。君があの時、竹さんに直してもらえ、なんて要らない事を言ったので、なんだか竹さんに頼むのも、てれくさくなって、また、マア坊に頼むのも、わざとらしいし、あの花は、ついあのままになっていたのだ。
「きのう友人が、いい加減に挿して行ったのです。直してくれるひとも無いし。」
娘さんは、ちらと越後の顔色をうかがった。
「直しておやり。」越後も食事がすんだらしく爪楊枝を使いながら、にやにや笑って言った。どうも、けさは機嫌がよすぎて、かえって気味が悪い。
娘さんは顔を赤くして、ためらいながらも枕元に寄って来て、菊の花をみんな花瓶から抜いて、挿し直しに取りかかった。いいひとに直してもらえて、僕はとても嬉しかった。
越後はベッドの上に大きくあぐらを掻いて、娘さんの活花の手際をいかにも、たのしそうに眺めながら、
「もういちど、詩を書くかな。」と呟いた。
下手な事を言って、また、呶鳴られるといけないから、僕は黙っていた。