Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
二つ歌い終ると、越後獅子は眼をひらいて、もうよかろう、と言う。からだにさわる、と言い添える事もある。歌い手のからだにさわるという意味か、聞き手のからだにさわるという意味か、はっきりしない。でも、この清七殿だって決して悪い人じゃないんだ。俳句が好きなんだそうで、夜、寝る前に松右衛門殿にさまざまの近作を披露して、その感想を求めたけれども、越後は、うんともすんとも答えぬので、清七殿ひどくしょげかえって、さっさと寝てしまったが、あの時は可哀想だった。清七殿は越後獅子をかなり尊敬しているらしい。この粋な男の名は、かっぽれ。
そのお隣りに陣取っている人は、西脇一夫殿。郵便局長だか何だかしていた人だそうだ。三十五歳。僕はこの人が一ばん好きだ。おとなしそうな小柄の細君が時々、見舞いに来る。そうして二人で、ひそひそ何か話をしている。しんみりした風景だ。かっぽれも、越後も、遠慮してそれを見ないように努めているようである。それもまたいい心掛けだと思う。西脇殿の綽名は、つくし。ひょろ長いからであろうか。美男子ではないけれども、上品だ。学生のような感じがどこかにある。はにかむような微笑は魅力的だ。