Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
と思いました。君、もうすでに新しい幕がひらかれてしまっているのです。しかも、われらの先祖のいちども経験しなかった全然あたらしい幕が。
古い気取りはよそうじゃないか。それはもうたいてい、ウソなのだから。僕は、いま、自分のこの胸の病気に就いても、ちっとも気にしてはいない。病気の事なんか、忘れてしまった。病気の事だけじゃない。何でもみんな忘れてしまった。僕がこの健康道場にはいったのは、戦争がすんで急に命が惜しくなって、これから丈夫なからだになり、何とかして一つ立身出世、なんて事のためでは勿論ないし、また、早く病気をなおしてお父さんに安心させたい、お母さんを喜ばせたいなどという涙ぐましいような殊勝な孝心からでも無かったのだ。しかし、また、へんなやけくそを起してこんな辺鄙な場所へ来てしまったというわけでも無いんだ。ひとの行為にいちいち説明をつけるのが既に古い「思想」のあやまりではなかろうか。無理な説明は、しばしばウソのこじつけに終っている事が多い。理論の遊戯はもうたくさんだ。概念のすべてが言い尽されて来たじゃないか。僕がこの健康道場にはいったのには、だから何も理由なんか無いと言いたい。