Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
見かけましたか? 見かけたならば、それならば、なぜその時に、ひとこと「おい、君」と声を掛けてくれなかったの? 僕は君の顔を見上げて、「お友達になって下さい!」とお願いしたに違いない。そうして、君と一緒に烈風の中をさまよい歩きながら、貧しい人を救おうね! と幾度も幾度も誓い合ったにちがいない。ひろい世界に、思いがけぬ同志を得たという事は、君にとっても僕にとっても、なんと素晴らしい事だったろう。けれども、誰も僕に言葉をかけてはくれなかったのだ。僕はヨボヨボになって麹町の家へ帰ったのです。
それからのことを書くのは、さらにくるしい。僕の生涯に於て、再びかかる悪事をなさぬことを神に誓う。僕は兄さんを殴ってしまったのだ。夜十時頃、こっそり家へ帰って、暗い玄関で靴の紐を解いていたら、ぱっと電燈がついて兄さんが出て来た。
「どうだったい? だめか?」のんきな声である。僕は黙っていた。靴を脱いで、式台に立って、無理に薄笑いしてから、答えた。
「きまってるじゃないか。」声が、のどにひっからまる。
「へえ!」兄さんは眼を丸くした。「本当かい?」
「お前がわるいんだ!」矢庭に兄の頬を殴った。