Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
場長は、このごろ、日本の科学の発展史、とでもいうようなテーマの講義を続けている。頭のいい講義とでもいうのであろうか、淡々たる口調で、僕たちの祖先の苦労を実に平明に解説してくれる。きのうは、杉田玄白の「蘭学事始」に就いてお話して下さった。玄白たちが、はじめて洋書をひらいて見たが、どのようにしてどう飜訳してよいのか、「まことに艫舵なき船の大海に乗出せしが如く、茫洋として寄るべなく、只あきれにあきれて居たる迄なり」というところなど実によかった。玄白たちの苦心に就いては、僕も中学校の時にあの歴史の木山ガンモ先生から教えられたが、しかし、あれとは丸っきり違う感じを受けた。
ガンモは、玄白はひどいアバタで見られた顔ではなかった、などつまらぬ事ばかり言っていたっけね。とにかく、この場長の毎日の講話は、僕にはとても楽しみだ。日曜には、講話のかわりにレコオドを放送する。僕はあんまり音楽は好きでないけれども、でも一週間に一度くらい聞くのは、わるくないものだ。レコオドのあいまに、助手さんの肉声の歌が放送される事もあるが、これは聞いていて楽しい、というよりは、ハラハラして落ち附かない気持になるものだ。