Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
耽読は、からだに悪い事かも知れない。まあ、ここにいる間だけでも、うるさい思念の洪水からのがれて、ただ新しい船出という一事をのみ確信して素朴に生きて遊んでいるのも、わるくないと思っている。
ただ、君への手紙を書く時間が少くて、これには弱っている。たいてい食事後に、いそいで便箋を出して書いているが、書きたい事はたくさんあるのだし、この手紙も二日がかりで書いたのだ。でも、だんだん道場の生活に慣れるに随って、短い時間を利用する事も上手になって来るだろう。僕はもう何事につけても、ひどく楽天居士になっているようでもある。心配の種なんか、一つも無い。みんな忘れてしまった。ついでに、もうひとつ御紹介すると、僕のこの当道場に於ける綽名は、「ひばり」というのだ。実に、つまらない名前だ。小柴利助という僕の姓名が、小雲雀という具合いにも聞えるので、そんな綽名をもらう事になったものらしい。あまり名誉な事ではない。はじめは、どうにもいやらしく、てれくさくて、かなわなかったが、でもこのごろの僕は、何事に対しても寛大になっているので、ひばりと人に呼ばれても気軽に返事を与える事にしているのだ。