Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
私ゃ、知っていますよ。お前たちはまだ小さくて、知ってないかも知れんが、私ゃ、よく知っていますよ。それぁもう、ずいぶんお世話になったもんだ。」
「いいじゃないか、そんな事は。」さすがに少し、うるさくなって来た。
「いいえ、よかないよ。謂わば、まあ、こっちは主筋ですよ。それをなんだい、麹町にも此の頃はとんとごぶさた、ましてや私の存在なんて、どだい、もう、忘れているんですよ。それぁもう私は、どうせ、こんな独身の、はんぱ者なんだから、ひとさまから馬鹿にされても仕様がないけれども、いやしくもお前、こちらは主筋の、――」ほとんど畳をたたかんばかりの勢いであった。
「脱線してるよ、叔母さん。」僕は笑っちゃった。
「もういいわよ。」姉さんも、笑い出した。「そんな事より、ねえ、進ちゃん? お前も兄さんも、下谷の家を、とってもきらっているんでしょう? 俊雄さんの事なんか、お前たちは、もう、てんで馬鹿にして、――」
「そんな事はない。」僕は狼狽した。
「だって、ことしのお正月にも、来てくれなかったし、お前たちばかりでなく、親戚の人も誰ひとり下谷へは立ち寄ってくれないんだもの。あたしも、考えたの。