Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
くだらないと思ったなら、そこには怒りもあるだろうし、軽蔑し切って捨て去り、威勢よく他の道へ飛込んで行く事も出来るだろうが、僕のけさの気持は、そんなものではなかった。むなしいのだ。すべてが、どうでもいいのだ。演劇。それは、さぞ、立派なものでございましょう。俳優。ああ、それもいいでしょうね。けれども、僕は、動かない。ハッキリ、間隙が出来ていた。冷たい風が吹いている。斎藤氏のお家へはじめてお伺いして、ていのいい玄関払いを食って帰った時にも、之に似た気持を味わった。世の中が、ばかばかしい、というよりは、世の中に生きて努力している自分が、ばかばかしくなるのだ。ひとりで暗闇で、ハハンと笑いたい気持だ。世の中に、理想なんて、ありゃしない。みんな、ケチくさく生きているのだ。人間というものは、やっぱり、食うためにだけ生きているのではあるまいか、という気がして来た。あじきない話である。
放課後、ふらふらと蹴球部の支度部屋へ立寄ってみた。蹴球部へでも、はいろうかと思ったのだ。なにも考えずにボールでも蹴って、平凡な学生として、ぼんやり暮したくなったのだ。蹴球部の部屋には誰もいなかった。