Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
「当分おわかれですわね。」と笑うような顔で、口をへんに曲げて言って、一瞬後、ひいと声を挙げて泣き伏した。
意外であった。兄さんと僕とは顔を見合せた。兄さんは、口をとがらせていた。当惑の様子である。杉野さんは、それから二、三分、泣きじゃくっていた。僕たちは黙っていた。杉野さんは、やがて起き上り、顔をエプロンで覆ったまま部屋から出て行った。
「なあんだ。」と僕が小さい声で言うと、兄さんも顔をしかめて、
「みっともない。」と言った。
けれども僕には、だいたいわかった。その時は、それ以上、杉野さんに就いて語るのをお互いに避けて、他の雑談をはじめたが、みんながタクシイに乗って出発した後で、さすがに、兄さんは、ちょっと考え込んだ様子であった。
兄さんは二階の部屋に仰向に寝ころんで、
「結婚しちゃおうか。」と言って笑った。
「兄さん、前から気がついていたの?」
「わからん。さっき泣き出したので、おや? と思ったんだ。」
「兄さんも、杉野さんを好きなの?」
「好きじゃないねえ。僕より、としが上だよ。」
「じゃ、なぜ結婚するの?」
「だって、泣くんだもの。」
二人で大笑いした。
杉野さんも、見かけに寄らずロマンチックなところがある。