Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
なあに、そんなに好いてもいないんだよ。すべて、この初秋という季節のせいなのだ。このごろは僕も、まるでもう、おっちょこちょいの、それこそピイチクピイチクやかましくおしゃべりする雲雀みたいになってしまったようだが、しかし、もはやそれに対する自己嫌悪や、臍を噛みたいほどの烈しい悔恨も感じない。はじめは、その嫌悪感の消滅を不思議な事だと思っていたが、なに、ちっとも不思議じゃない。僕は、まったく違う男になってしまった筈ではなかったか。僕は、あたらしい男になっていたのだ。自己嫌悪や、悔恨を感じないのは、いまでは僕にとって大きな喜びである。よい事だと思っている。僕には、いま、あたらしい男としての爽やかな自負があるのだ。そうして僕は、この道場に於いて六箇月間、何事も思わず、素朴に生きて遊ぶ資格を尊いお方からいただいているのだ。囀る雲雀。流れる清水。透明に、ただ軽快に生きて在れ!
きのうの手紙で、マア坊をばかに褒めてしまったが、あれは少し取消したい。実は、きょう、ちょっと珍妙な事件があったので、前便の不備の補足かたがた早速御一報に及ぶ次第なのだ。囀る雲雀、流れる清水、このおっちょこちょいを笑う給うな。