Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
飲みかけのアイスコーヒーのグラスもある。
「お坐りなさい。あぐら、あぐら。」と一ばんの年長者らしい人が僕に座布団をすすめる。
「芹川さんでしたね。」と言って、卓上の書類の中から、僕の履歴書や写真などを選び出して、
「大学は、つづけておやりになるつもりですか?」まさに、核心をついた質問だった。僕の悩みも、それなんだ。手きびしいと思った。
「考え中です。」ありのままを答える。
「両方は無理ですよ。」追撃急である。
「それは、」僕は小さい溜息をついた。「採用されてから、」言葉がとぎれた。
「それゃまあ、そうですが。」相手は敏感に察して笑い出した。「まだ採用と、きまっているわけでもないのですものね。愚問だったかな? 失礼ですが、兄さんは、まだお若いようですね。」どうも痛い。からめ手から来られては、かなわない。
「はあ、二十六です。」
「兄さんおひとりの承諾で大丈夫でしょうか。」本当に心配そうな口調である。この口頭試問の主任みたいな人は、よっぽど世の中の苦労をして来た人に違いないと僕は思った。
「それは大丈夫です。兄さんは、とても頑張りますから。」
「頑張りますか。」ほがらかそうに笑った。