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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

「中身をなんだと思っているのだろう?」

「金銀珠玉、異国の珍器」

「唐櫃はどうも渡せないよ」

「はい、渡すことはできません」

「そういうがいい、渡せないとな」

「とても承知は致しますまい」

「無理に取ろうとしているのか?」

「兵をひきいて参りました」

「兵を?」とはじめて老人の声が、すさまじい感情を現わした。

「戦いか! 恐ろしい! 流血か! おそろしい! おれはいやだ! おれはいやだ!」

「私もいやでございます」

「それはどうしてもやめなければならない!」

「いかがでございましょう。時行、正雪に、中身をあからさまに見せましたら?」

「ならぬ!」と威厳のある老人の声! 「わしはいいのだ、わしなどはな! だがあの方を辱めてはならぬ」

そこで将右衛門はだまってしまった。ひざまずいたままで動かない。うなだれて考えている。うずくまったままの老人の姿、やはりじっと動かない。

と、将右衛門やがていった。「どうぞご用意あそばしませ」

「用意?」と老人は聞き返した。

「なんの用意だ、将右衛門?」

「流浪いたさねばなりますまい」

「引き払うのか、富士見の郷を?」

「ほかに手段はございません」将右衛門の声は沈痛であった。