Japanische Klassiker mit Furigana
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こじきものがたり
古事記物語
鈴木 三重吉
Lesen Sie 古事記物語 (こじきものがたり) von 鈴木 三重吉 (すずきみえきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 96.723 Zeichen · 191 Bildschirme
二
それで、とうとうこっそり裏口のご門から抜け出して、沙本毘古のとりでの中へかけつけておしまいになりました。
皇后はそのときちょうど、お腹にお子さまをお持ちになっていらっしゃいました。
天皇は、もはや三年もごちょう愛になっていた皇后でおありになるうえに、たまたまお身持ちでいらっしゃるものですから、いっそうおかわいそうにおぼしめして、どうか皇后のお身におけががないようにと、それからは、とりでもただ遠まきにして、むやみに攻め落とさないように、とくにご命令をおくだしになりました。
二
そんなことで、かれこれ戦も長びくうちに、皇后はおあにいさまのとりでの中で皇子をお生みおとしになりました。
皇后はそのお子さまをとりでのそとへ出させて、天皇の軍勢の者にお見せになり、
「この御子をあなたのお子さまとおぼしめしてくださるならば、どうぞひきとってご養育なすってくださいまし」と、天皇にお伝えさせになりました。
天皇はそのことをお聞きになりますと、ついでにどうかして皇后をもいっしょに取りかえしたいとお思いになりました。それは、兄の沙本毘古に対しては、刻み殺してもたりないくらい、お憤りになっておりますが、皇后のことだけは、どこまでもおいたわしくおぼしめしていらっしゃるからでした。