Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
と叫んだ。
前部を折り曲げたカラーの間の咽喉笛に、何ものかの咬みついた歯の痕がはっきりついて居たからである。
血は歯の痕の附近に少しばかり、にじみ出ているだけで、床の上にも、洋服の上にも飛び散って居なかった。ただカラーの内面には、傷に触れたため、赤いものが附いていた。
両手は左右にまっ直にのばされて居たが、右の手には一枚の絹手巾がもしゃもしゃにまるめて握られていたので、警部はそれを取り上げて嗅いで見ると、クロロフォルムのにおいがかすかにした。手巾は白い色をした女持で、隅の方に紅い絹糸で「タニムラ」と縫われてあった。
それから警部は、警察医に死体を検査せしめた。医師の鑑定によると、頸部前面の傷はたしかに人間の歯で咬まれたもので、喉頭軟骨が砕けて居るところを見ると、咬まれたとき歯をつよく押しつけられて窒息したものであるらしく、無論他殺には間違いなく、死後およそ九時間を経過しているから、兇行は昨夜の十一時か十二時頃のことであろうというのであった。
「咬んだのは女ですか男でしょうか?」と霧原警部はたずねた。
「女らしいとは思いますが、よくわかりません」と警察医は言った。