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Japanische Klassiker mit Furigana

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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme

Aozora Bunko

活栓は一分間に二百五十回の割で動きましたから、脈搏の数を数えることは出来ませんが、血液が無事に巡回して居ることは、はっきり感ぜられました。

五分! 彼女の唇がその色を恢復すると同時に、眼瞼がかすかにふるえました。私は思わず、うれしさの叫びをあげようとしました。犬と羊の実験をしたときも、最初にこの眼瞼の顫えを経験したからです。

七分! 彼女の両眼球が左右へ廻転し始めました。私は、張り裂る程の喜びを無理に押えて彼女を見つめました。

九分! 彼女はぱっちり眼を開いて空間をながめ、唇を動かしました。

十一分! 彼女の視線は私の顔に集中されました。

十三分! 彼女は「ああ」と太息をもらしました。私は思わず叫びました。

「房子! わかるか、生きかえったのだぞ!」然し彼女はにっこりともしませんでした。

「房子! 人工心臓は成功した。うれしいだろう?」

「うれしい」と彼女は機械的に声を出しました。

「うれしいか。僕もうれしい。お前は新らしい生命を得たのだ!」

「あら!」と彼女はやはりマスクのような顔をした儘申しました。「わたし今、うれしいといったわねえ。然し、うれしいという気持になれない」