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Japanische Klassiker mit Furigana

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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme

Aozora Bunko

私はぎくりとしました。そうしていきなり彼女に接吻しました。

「あら、許して頂戴! わたしちっとも、なつかしいという気がしない」

私は更に吃驚しました。

「あなた、済まない。笑おうと思っても笑えない。うれしがろうと思ってもうれしがれない。これでは生きて居ても何にもならない!」

その時の私の絶望! 私は思わず、ベッドに顔を埋めました。

「あなた! 駄目! 早く人工心臓を取り去って頂戴。死ぬことも、生きかえることも、何の感じもない!」

二年間の研究はこの一言で木っ葉微塵に打ち砕かれました。恐怖を除くことのみを考えた私たちは、人工心臓が快楽やその他の感情をも除くことに気がつかなかったのです。悔恨! 慚愧! 妻は今それさえも感じません。人工心臓は結局人工人生に過ぎなかったのです。

パチッ! 私は思い切って、モーターをとどめるべくスイッチを捻じました。

いや、とんだ長話をしましたねえ。私のこの苦い経験は或はランゲの説を実証したかもしれませんが、私はそれ以後、機械説なるものに慊らぬ感じを懐きました。機械説は結局人間の希望を打ち壊すものです。恐怖があり、病気があり、死ということがあればこそ、人間に生き甲斐があるのかも知れません。