Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
そこで彼は、その男を暗室から連れ出し、代りに問題の手袋を嗅がせると、にわかに点滴の数を増しましたから、その手袋はその男のはめたものではないことがわかったのであります。
この実験をしたとき鯉坂君は、若しや、犬が、手袋について居る血痕のにおいによって条件反射を起すのではないかと気附いたので、念のために、人血を新らしい手袋に塗って、犬に嗅がせて見ました。それによって、条件反射を起しはしなかったので、その犬は、手袋について居る持主の手のにおいのために条件反射を起すのであることを確めたわけであります。
さて、かくの如く、犯人嫌疑者の一人は、この新案探偵法によって鑑定せられましたけれど、さて、そのつぎに鑑定すべき嫌疑者がありませんでした。そこで鯉坂君は大いに焦燥を感じましたが、運のよい時には、事が割合に順調に運ぶものでして、ここに、非常に有力なる犯人嫌疑者が、警察の手によってあげられたのであります。
丁度鯉坂君が準備実験にかかって三月ほど過ぎたある朝、兇行のあった煙草屋の附近に張込んで居た一人の巡査が、不思議な男を逮捕したのであります。その男は四十ばかりの、一見して狂人と見える姿で、何事かをつぶやきながら、街をこちらに歩いて来ました。