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Japanische Klassiker mit Furigana

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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme

Aozora Bunko

「手がかりと言っても、それが果して私の予期するような大切なものかどうかは知りませんが、恐らくそれによって真犯人を手ぐり出すことが出来ると思います。真犯人さえわかれば、あなたは直ちにこの陰鬱な、殺風景な、不愉快な場所から解放されることが出来るのです」

こう言って康雄は彼女の顔をのぞきこむようにした。と、如何した訳か、彼女の顔には喜色の代りに、一抹の憂色が漂いはじめた。康雄は早くもそれに気附いて、

「どうなさったのです。何か私の言葉が御気に障りましたか」

「いえ、いえ」彼女は慌てて否定した。乱れた髪の毛と、膨れ気味の眼瞼は、一層彼女の美しさを廓大した。彼女は寂しく笑って続けた。「私は、昨日も申し上げましたとおり、身うちのものは誰一人無い寂しい身分で御座います。なまじ世の中へ出るよりも、いっそ、この留置場に居た方が、どれほど気楽か知れません」

彼女の眼には涙がたまった。何といういじらしい姿であろう。康雄は、かたき抱擁のもとに、彼女を慰めてやりたいような衝動に駆られた。

「いけませんよ、そんな心細いことを言っては!」と、康雄は幾分か声を顫わせて言った。「ああ困りましたねえ、私は、こういう際に、何といってよいかを知りません。