Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
して見ると、先日、私の血を喜んで吸ったのもやはり妊娠のためだったのであろう。が、此安心もほんの一時であって、次の瞬間には更に更に恐ろしい感じが、私の心の中に漲った。彼女が果して妊娠したとすれば、それこそ、私たちの「結婚」の動かすべからざる証拠であって、愈々、暗い運命の手は、更に一枚の帷を増して、私たちを包んだことになるではないか? こう思ってふと鴨居を見ると其処には「金毘羅大神」の文字が、ぼんやりとした周囲の光から抜け出したように、鮮かに並んで居た。
私の心は益々暗くなった。彼女が妊娠したというのは果して本当であろうか。彼女もまた私同様に犬神の祟を受けて居るのではあるまいか。血を嘗め灰を嘗めるのは犬神の祟だといえば云い得るではないか。私はもうたまらないような気がした。私は、いっそ、彼女を噛み殺して自分も死んでしまおうかと思う程、私の心はいらいらして来たのである。
あくる日、私は最後の予防注射を受け乍ら、思い切って、医師にたずねた。
「先生、私は、こうして注射を受けて、今日がおしまいであるというのに心は段々重たくなり気はいよいよ荒くなるようです。一度私の血を取って調べてくれませんか?」