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Japanische Klassiker mit Furigana

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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme

Aozora Bunko

「血をとって何を調べるのですか」

「もしや私の身体に犬の血がめぐって居やしないかと思うのです」

「馬鹿な!」

「いや、私は真剣です。どうか調べて下さい」

医師は、始め私が冗談を云って居るのだと思ったらしかったが、私の顔に真実の色があらわれて居るのを見て、

「よろしい、調べてあげましょう。狂犬に噛まれた人の血が、犬の血と同じ性質を帯びて来るとしたなら、それこそ学界の一大発見ですから」

といい乍ら、腕の静脈から二瓦ばかりの血を試験管にとった。

あくる日を待ちかねて私は研究所をたずねた。医師は私の顔を見るなり、極めて真面目な顔をして、

「やって来ましたね。とうとう一大発見をしましたよ。さあ先ずこちらへ……」

私は皆まで聞かずに、呆気にとられた医師を残して飛び出してしまった。万事休す。私の血管にはまがいもなく犬の血がめぐって居るのだ。それが今科学的に証明された訳である。犬神の家のものにはすべて、犬の血がめぐって居るのか、それとも、私が狂犬に噛まれてから、犬の血に変化したのかもとよりわかろう筈はないが、自分の身体に犬の血がめぐって居る! こう思うだけでも、大ていの人の精神を異常ならしめるに十分である。